新たな高速道路として建設中の
横浜環状南線「公田笠間トンネル」。
この現場では、鹿島建設ほか2社による
JV(共同企業体)とともに
KMEチームが活躍しています。
直径15mという国内有数の大断面トンネル工事に
日々挑む
施工技術本部の社員たちの
働き方を見てみましょう。
公田笠間トンネルでは、KME社員6名が現場に常駐しています。工事は昼夜二交代制(8:00~17:00/20:00~5:00)で進められており、土木担当の芳賀所長は計画・全体管理業務を、野村職員・久保田職員は機電担当として機械・仮設備計画や設置工事、メンテナンス等を鹿島JVと一体で行っています。工事の大半は建設機械による作業であり、トンネルを掘削する「シールドマシン」をはじめ、掘削した土砂を運ぶベルトコンベヤ、排水・給水設備など、機電の担当範囲は多岐にわたります。建設機械のトラブルが工事進捗に影響するため、いずれの業務においてもトラブルを発生させない対応がとても重要です。そのため、KMEチームはJV担当者とともにトンネル完成というゴールを目指す、“大切な仲間”として、日々の業務にあたっています。
計画・設計・施工など、建設機械に関わるKMEの業務には、知識と現場での稼働状態を瞬時に把握するスキルが必須です。現場における建設機械のメンテナンスは、機電担当が若手のうちに経験する業務で、ここで習得するスキルはキャリアアップの大切な基礎となります。
現場配属の入社4年目の久保田職員は建設機械の計器類をチェックして電流値、圧力値、抵抗値などの変化や音の変化、焦げくさい臭いはしないかなどトラブルの予兆を判断し、建設機械のトラブルで工事進捗に影響しないようメンテナンスをしています。一見、経験則による職人技と思われがちですが、久保田職員は、「五感を研ぎ澄まして機械を丁寧にチェックすれば、適切なメンテナンスができます」と話します。これは、職場の先輩でもあり学校の先輩でもある野村職員から学んだこと。その野村職員は「面倒見がよく、JVからの信頼も厚い」と、その活躍ぶりが社内外から高く評価されています。
ただ、現場機電業務では一筋縄ではいかないことにも直面します。特に、土木の現場は、環境条件や構造物の仕様によって、特殊な建設機械が用いられる場合も少なくありません。この現場も同様で、国内でもめったにない大断面トンネルゆえに、オーダーメイドで作られた特殊な機械が多いのが特徴です。ふだん扱っている汎用機械とは仕様も操作法も異なるため、トラブルが起きた際の対処法がなかなか分からないケースもあります。
セグメントを搬送する海外製のVMSでトラブルが発生した際は、その対応に四苦八苦。日本国内に代理店がなく、製造国とは時差があり、機械に対する考え方の相違もあって意思疎通が難しかったそうで、「ボルトも工具も日本製が使えなくて苦労しました」と、野村職員は当時を振り返ります。英語のマニュアルを片手に、現場はさまざまなデータを基に原因を探っては商社を介して海外のメーカーと究明にあたり、時にはメーカーと直接やり取りを行うなど、国際的なチームワークを地道に続けて解決させました。この経験を通じて、海外製の機械を取り扱うスキルが向上しました。
大学時代に自動車整備を学んでいた野村職員は、多種多様な機械・設備に触れる中で、油圧関係のノウハウを修得。多くの人が使い続ける道路をつくっているという実感も、この仕事の醍醐味の一つと感じているそうです。これまでの経験から、「1日の動きを逆算して、作業の優先順位を付けられるようになり、仕事を効率よくこなせるようになりました」とも話します。
後輩の久保田職員は、「ワイヤリング」を勉強中。設計と現場、自身の適性を模索しながら、いろいろ経験することで自分の「得意」を増やしていきたいと考えています。
KMEには、たくさんのスペシャリストに学べる環境が整っているため、入社後の成長を助けてくれることでしょう。
若手への期待について、「機械、土木と、どんどん仕事の幅を広げていってほしい」と語る芳賀所長。部下に対しては、メンテナンス業務と計画・管理業務、両方に精通した人材へステップアップできるように指導しています。現場は常に状況が変わるため、さまざまな対応を積み重ねて、自分で判断・説明できることも大切だと考えます。もちろん、すべての意見や提案が通るわけではありませんが、「やってみよう」という前向きな姿勢が、トンネルの完成を目指しているチームの絆をより強くするのかもしれません。「JVも協力会社も若い人が多く、組織を越えた横のつながりも強いので、若手同士のコミュニケーションが活発です」と芳賀所長。他社の若手との交流もよい刺激になる、大規模現場で働く魅力はこんなところにもあります。